遺産分割がまとまらないときの相続税申告の注意点
2025/09/03
遺産分割が間に合わなくても申告期限は10か月
相続税の申告・納税期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から 10か月以内。
しかし、相続人同士での話し合い(遺産分割協議)がまとまらず、10か月以内に分割できないケースも珍しくありません。
期限までに遺産分割が終わらなくても、相続税の申告義務はなくならないため、まずは「未分割のまま」申告を行う必要があります。
未分割で申告した場合の不利益
遺産分割が未確定のまま申告すると、以下の特例が使えません。
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配偶者の税額軽減
本来なら配偶者は大きな非課税枠を利用できますが、未分割では適用されません。 -
小規模宅地等の特例
自宅や事業用地の評価額を最大80%減額できる制度ですが、分割が確定していないと使えません。
その結果、本来より多い相続税を一時的に納める必要がある ことになります。
申告後に分割がまとまった場合
遺産分割が成立したら、以下の手続きで税額を調整できます。
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更正の請求
本来より多く納めすぎた税金を、申告期限から5年以内であれば還付請求できます。 -
更正の手続きで特例適用
配偶者控除や小規模宅地等の特例をあとから適用可能です。
ただし、申告期限から3年以内 に分割が成立していることが条件です(「3年以内分割見込書」を提出している場合)。
実務での注意点
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申告期限は必ず守る(未分割でもとにかく申告・納税)
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「3年以内分割見込書」を必ず提出する
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期限後に分割成立したら速やかに更正の請求を行う
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相続人間で揉めそうな場合は早めに専門家を交えて協議を進める
まとめ
遺産分割がまとまらなくても、相続税の申告期限は待ってくれません。
その場合は 未分割のまま申告 → 後から更正で調整 という流れになります。
ただし、配偶者控除や小規模宅地の特例が一時的に使えないため、余分な税金を納めるリスクがあります。
岡山で遺産分割が難航している方は、期限を過ぎる前に必ず税理士へご相談ください。