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税制改正でどう変わる?「基礎控除・扶養控除」のポイント整理

2025/10/10

 年末調整や育児世代に影響のある「基礎控除」や「扶養控除」に関して、令和7年度の税制改正で大きな見直しが行われました。どんな影響があるのか、分かりやすく解説します。


① 基礎控除が48万円→最大95万円にアップ!

 改正前:基礎控除は一律48万円でした。

 改正後

  • 令和7・8年分は、所得額に応じて 58万円~95万円 まで段階的に引き上げられます。

  • 令和9年分以降は、一律 58万円 に固定されます。

 さらに、給与所得控除の最低保障額も55万円から65万円にアップします。

 👉 これにより、いわゆる「年収103万円の壁」は大きく変わります。

  • 令和7・8年は 約160万円 が所得税の非課税ラインに。

  • 令和9年以降は 約123万円 が新しい基準となります。


② 扶養控除の対象となる所得要件も“+10万円”に

 改正前:扶養親族などの合計所得要件は「48万円以下」でした。
 改正後(令和7年分以降):「58万円以下」に引き上げられます。

 👉 より多くの親族が扶養控除の対象となりやすくなります。


③ 「特定親族特別控除」の創設!

 新たに、19歳以上23歳未満の親族を対象とした「特定親族特別控除」が導入されます。

  • 合計所得が58万円を超えていても123万円以下であれば、段階的に追加控除が受けられる仕組みです。

  • 扶養控除を外れる若年層への負担増を和らげる狙いがあります。


改めて整理:改正のインパクト

項目 改正前 改正後
基礎控除 48万円 58万〜95万円(令和7・8年)
令和9年以降は58万円
年収103万円の壁 約103万円 令和7・8年:約160万円
令和9年以降:約123万円
扶養親族の所得要件 48万円以下 58万円以下
特定親族特別控除 なし 19〜23歳未満に新設

おわりに

 令和7年度の税制改正により、所得税の基礎控除・扶養控除は大きく見直されました。特に「年収の壁」が一時的に大幅に緩和される点は、共働き世帯や学生の就労に追い風となります。ただし、改正は「令和7・8年」と「令和9年以降」で基準が異なるため、自分や家族の収入見込みに応じてシミュレーションしながら確認することが大切です。