課税事業者選択届と「100万円以上の資産購入」の関係
2025/09/17
インボイス制度が始まってから、「課税事業者選択届出書」を提出するケースが増えています。
その際に多いご質問が、
「高額な資産を買うと課税事業者の期間が延びるのですか?」
というものです。
基本ルール
課税事業者選択届を提出すると、最低2年間は免税事業者に戻れません。
つまり、一度「課税」を選ぶと、すぐにはやめられない仕組みになっています。
延長の仕組み
この「やめられない期間」が3年間に延びる特例があります。
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届出を提出してから 2年以内に
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税抜 100万円以上の調整対象固定資産 を購入した場合
この条件に当てはまると、課税事業者をやめられない期間が 2年 → 3年 に延長されます。
対象となる資産は?
ここが誤解されやすいポイントです。
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✅ 対象 → 建物、建物附属設備、機械装置、車両、器具備品などの 固定資産(調整対象固定資産)
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❌ 対象外 → 商品や原材料などの 棚卸資産
つまり、在庫の仕入れや商品購入は「延長の対象にはならない」ので注意が必要です。
3年目に購入した場合は?
「3年目に100万円以上の固定資産を買ったら、さらに延びるのか?」
→ 延びません。
延長の判定は「届出から2年以内の購入」に限られています。
実務上の注意点
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店舗改装、設備投資、大型備品の購入などは、届出時期との関係で免税に戻れる時期が変わります。
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「3年目以降に買う分には延長なし」ですが、2年以内に買ってしまうと延長確定なので、投資計画と届出のタイミングを慎重に検討する必要があります。
まとめ
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課税事業者選択届を出すと、原則2年間はやめられない
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2年以内に100万円以上の調整対象固定資産を購入すると、3年間に延長
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棚卸資産(商品や材料)は延長対象外
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3年目以降の購入も延長には影響しない