相続時精算課税制度について、教えてください。
一番のメリットは、最大2,500万円までの贈与であれば、
非課税ということです。
■メリットについて
(1)2,500万円までは贈与税がかからない
ただし、最大2,500万円は贈与者が死亡するまでに贈与した「累計の贈与額」となります。
つまり一度に2,500万円の贈与も、年をまたいで複数回にわたって合計2,500万円の贈与もできます。
(2)超過した分の贈与税の税率が一律20%
相続時精算課税制度を適用させた贈与財産が合計2,500万円を超えた場合、超過分の財産については贈与税の税率が一律で20%となります。超過分の財産の贈与税の税率は、暦年課税の税率と比べるとはるかに低くなっています。
(3)相続の争いを防げる
相続時精算課税制度を適用させて生前贈与をすることにより、贈与者の相続発生時における親族間での相続争いを防ぐことができるかと思います。
(4)財産を早く贈与できる
相続時精算課税制度を選択した場合、元々相続発生時に相続人である子や孫に相続する財産を、子や孫が財産を必要としているタイミングにて受け取れ、有効に活用できることが可能となります。
(5)時価主義をうまく活用する
相続時精算課税制度の持ち戻しの際には、「時価主義」があります。時価主義とは、例えば有価証券を時価500円のときに贈与した場合で贈与者が亡くなり相続が発生した時にその有価証券の時価が10万円に高騰していたとしても、反対に1円に急落していたとしても、評価する価格は贈与時の時価500円で評価されます。これを「時価主義」といいます。
■デメリットについて
(1)提出後の変更ができなく今後同じ贈与者から暦年課税が使えない
一番のデメリットとして「相続時精算課税制度選択届出書」を税務署に提出すると、同じ贈与者からの暦年課税の基礎控除額(毎年110万円)が使えなくなってしまい、暦年課税との併用も、変更も撤回もできません。
(2)贈与がある場合に毎回申告の手間がかかる
相続時精算課税制度を選択した際には、必ず「贈与税の申告書」や「相続時精算課税制度選択届出書」などの必要書類を税務署に提出して申告する義務が発生します。
(3)相続時に相続税が発生することがある
こちらは制度上仕方がないことですが、将来的な納税額が増加することも考えられます。
(4)小規模宅地等の特例が使えない
相続時精算課税制度を選択して住宅等の宅地等(土地や敷地権)を贈与した場合、その宅地等は受贈者の財産となるため、贈与者の相続発生時に小規模宅地等の特例を使えません。
(5)不動産の所有権移転に関する費用がかかる
不動産を生前に贈与した場合、「登録免許税」や「不動産取得税」などの費用が増えます。